2015年7月17日金曜日

先生の多忙化はウソ

忙しいのに平日昼間に国会前で座り込み

国民教育文化総合研究所なる団体が「教員勤務の「多忙化」解消に向けた提言」というものを発表しています。要は、学校の先生は忙しいから、国はなんとかしろよってことです。このように、学校の先生が多忙化でタイヘンだなんてニュースをよく見ます。

まず、この国民教育文化総合研究所(教育総研)なる団体の正体ですが、これ、実は日教組のシンクタンク。自分たちの待遇改善のためにやってる調査ということで、内容はあまり信頼性がありません。このような調査結果をマスコミなどに発表して教員の待遇を改善しろと運動しているわけです。

実際のところはどうなのか。教員の勤務状況については、文部科学省が平成18年に大規模な調査を実施しており、これが一番信頼性が高いかなといった感じ。で、それによりますとこうなっている。

平成18年に行われた「教員勤務実態調査」の結果によると、小学校・中学校の教諭の勤務日の残業時間が1月当たり平均約34時間となるなど、昭和41年の「教職員の勤務状況調査」の結果と比べ、残業時間が増加している。

教員の平均残業時間が月34時間一日あたり1時間半前後。そんなに多いですかね、これ。民間企業なら楽なほうでしょう。

この実態調査、1966年にも実施され、それが教員の残業手当の算定基礎にもなったということ。その時の平均残業時間が月約8時間で、34-8時間で26時間も残業時間が増えている、給料上げろと運動やってるわけです。

素直に耳を傾ければ、いじめ問題やモンスターペアレントの相手で、学校の先生って大変ねと思うかもしれませんが、騙されてはいけません。月あたりの総労働時間を見ればそのカラクリがわかります。

そもそも1966年調査当時、学校は土曜出勤があったので1週間の勤務時間は8時間x5日+4時間=44時間。ところが今は完全週休2日制で、さらに1日あたりの労働時間も7時間45分と大幅に減っているのです。週あたりの労働時間は1966年当時44時間に対して、現在は38時間45分、なんと5時間15分の減となっているではありませんか。

これを月当たりで換算するとどうなるでしょうか。2015年7月を例に挙げれば、減少した労働時間は、土曜分が4時間x4日=16時間、平日分が15分x23日=5時間45分、合わせて21時間45分労働時間が減っているんです。

ということは、26時間残業時間が増えたと宣伝してるけど、実際のところ労働時間は4時間15分しか増えていないわけですね。月で4時間。さらに、1966年の調査当時はなかった国民の祝日(海の日、天皇誕生日)についても考慮すれば、教員の総労働時間は、50年前と比べてほとんど変わってないんですね。

ちなみに、上の例で、教員の週あたりの労働時間は、正規の労働時間38時間45分+残業分7時間24分=46時間9分です。日本のサラリーマンの週あたり労働時間は、53時間8分(「日本人の働き方と労働時間の現状」内閣府規制改革会議雇用ワーキンググループ資料より)ということですから、日本人の平均以下なわけです。

日教組の組合員さんは、「今は昔より確実に忙しくなっている」と反論するかもしれません。でも、データ上は労働時間はほとんど増えていないんです。あっ、ひとつだけ可能性があります。それは昔は勤務時間中に仕事していなかったのが、今は仕事しているってことですよ。

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