2015年11月25日水曜日

日本の教員1人あたり生徒数は13人で世界トップクラス

http://www.yomiuri.co.jp/national/20151125-OYT1T50023.html
2012年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合は3・5%で、データがある32か国中、スロバキアと並んで最下位だった。日本の最下位は6年連続。

今年もOECDの教育関連調査の結果が発表されました。毎度のインチキ調査で日本は6年連続最下位です。このブログですでに指摘のとおりGDP比で比較すれば子供の数が少ない日本で支出割合が低いのは当たり前です。今回はさらに詳しくOECD数値のウソを指摘します。

このOECDの調査のデータは文科省から出てくるわけですが、当然、文科省に都合のよい調査結果を発表して宣伝しています。教員の雇用を確保し、教育予算を確保したいからですね。バカなマスコミは発表結果を検証もせず、国際機関のデータだから有難がって右から左へ流すだけ。当然、国民の元には偽りの事実が届くわけです。

では、どのようなごまかしがおこなわれているか具体的にデータを見ていきましょう。今回取り上げるのは「教員1人あたりの児童生徒数」です。

ちょっと古いですが、教育指標の国際比較(平成20年版) 第2部 教員 10教員1人当たりの児童・生徒数
http://www.mext.go.jp/b_menu/toukei/001/08030520/010.htm

初等教育の部分に目をやると、

日本:19.4人
フランス:19.4人
ドイツ:18.8人
イギリス:20.7人
米国:14.9人
OECD平均:16.7人

日本の教員一人あたりの児童・生徒数は、OECD平均よりは多いが他の先進国と比べると同程度といった感じ。しかし、最近のマスコミなどの主な論調は「国際比較で日本の教員数は少ない、少人数学級を導入すべきだ」といったものが主流です。

ところがこのOECDの数値にもカラクリがあって、ここでいう「教員1人あたりの児童生徒数」は単純に生徒数をクラス数で割った値を示すのです。チームティーチングのような1クラスに2人教師を配置したり、加配など担任を持たない教員の数などはカウントされていないのです。余剰教員を大量に抱える日本の実態を正確には表していません。

ここで思い出してほしいのが以前に触れた日本の教員数の推移。児童生徒数が平成元年の1500万人から平成25年で1000万人を割り込むまで減ったのに対して、教員数は76万人とほぼ同数で推移いているということです。

もう少し詳しい数値を示せば平成25年時点で児童生徒数は989万人に対して教員数は76万人ですから、実際の一人当たり児童生徒数は、

989万人÷76万人=13.0人

国際比較で公表されている数値は19.4人ですが、平成25年時点での実数でみると一人当たりの児童生徒数はなんと13人。おそらくこの数値は世界でもトップクラスです。

日本の教員数は他国と比較しても多く、おそらく世界一というのが結論です。教員1人が13人しか生徒をみていないなんて楽な仕事だなと思いませんか。

2015年8月5日水曜日

日本の先生の給料は世界一 その2

前回、OECDの国際比較の話が出たので、教員給与が教育予算に占める割合について触れておきましょう。

日教組や文科省は、日本の教育予算が他国と比べて低い、教員を増やせ、給料を増やせと宣伝していますが、実際のところはどうなのでしょう。

ここでは2010年のOECDのデータをもとに話を進めていきます。まずは、在学者1人あたりの公財政支出(対国民一人当りGDP比)のデータです。日本は、OECD平均を上回り、米英仏独日の5か国では、イギリスに次いで2番目に高い支出率で、教育に予算をかけていることがよくわかります。

さて、教育予算といってもいろんな支出があります。校舎や設備などに使う施設費、教材費や奨学金なども含まれます。さてこうした教育予算に占める教員給与の割合はいかほどのものでしょうか。日教組や文科省は教員が少ない、給料が少ないと叫んでいるわけですから、諸外国と比べて低い割合なのでしょうか。


現実はこうです。日本の教育支出に占める教員給与の割合はOECD平均の75.9%を大きく上回る85.9%で、先進国でもトップクラスの値です。


在学者一人当たり教員給与支出でみてもトップレベル。予算に占める先生の給料の割合が世界でもトップクラスの国ということです。

前回の話と合わせると次のようなことがわかります。要するに、日本の教育予算はOECD平均を上回るにも拘わらず、少子化に伴う教員のリストラが進まないことが原因で、教員給与が他の教育予算を圧迫しているということです。

もう少し詳しく見てみましょう。まずは一つ目。日教組などで組織する団体のサイトに掲載されているグラフです。
一見すると日本の教育予算が少なく、公財政の支出が低いように思えます。公財政支出の比率が低いというのは、対GDP比でみているからということは前回の記事でお伝えしました。ここでは、さらに公費と私費の負担割合について着目してみましょう。

日教組や文科省は、日本の教育予算は私費すなわち家庭の負担が大きい、もっと教育予算を拡充して、教員の給料を上げろと訴えています。ところが、こうした主張はデタラメであることを証明しましょう。

こちらをご覧ください。同じデータを、「就学前」「初等中等教育」「高等教育」に分けて示したものです(少し小さいですが、クリックすると拡大されます)。注目すべきは、初等教育のグラフです。日本はOECD平均を上回り、初等教育では93%を公費が負担しているのです。米英仏独日の5か国で比べれば、日本は公費を一番負担している国なんです。

日本の場合は、就学前が最下位、高等教育も下から4番目と極端に低い値を示しているため、全体の公私費負担率が低い値を示しているというだけなのです。要するに小・中学校の教育予算は諸外国に比べて十分に確保されているのです。

こうしたゴマカシで、日教組や文科省は教育予算を確保し、教員の人件費に充て、さらに予算を増やそうと画策しているのです。そのしわ寄せが、就学前教育や高等教育に行っていると言ってもよいでしょう。余剰教員のリストラや給与カットを進めれば、他の部門へ予算が回せるのです。

2015年8月4日火曜日

日本の教育予算は最下位のウソ

最近、報道などで日本の教育予算がOECD加盟国の中で最下位というものをよく目にします。日教組や文科省が、このOECDの報告を根拠に教育予算・教員給与のアップを要求していますが、この報道は大きな間違いがあります。

「子ども応援便り」という日教組絡みのサイトにある特集記事を引用してみましょう。
日本の教育予算は、国内総生産(GDP)の約3.6%となっており、OECD各国の平均の約5.3%を大きく下回り、加盟国34か国中最下位となっています(グラフ1)。これで日本の最下位は5年連続となりました。

この記事を見た人は、「えっ、日本の教育予算ってこんなに低いのか、大問題だ」と思うかもしれませんが、それは間違いです。

それはこのグラフがとんでもないインチキグラフだからです。注目すべきは、このデータが『国内総生産比』であること。極端に少子高齢化が進んでいる日本では(5-19歳人口の総人口に占める割合が、他の先進国では概ね20%前後であるのに対して、日本は約15%)、このような計測方法では数値が低くなるのは当然なのです。

そのことを裏付けるように、同じOECDのレポートには以下のような記述もあります。

日本における在学者一人当たりの教育支出(公財政支出と私費負担の合計)は、OECD 加盟国中比較的高い。2011 年における、初等教育から高等教育までの在学者一人当たりの年間教育支出額は10,646 米ドルであり、これは OECD 平均の 9,487 米ドルよりやや高い。

要するに、児童・生徒一人あたりの教育費はOECD平均より『比較的高い』にもかかわらず、子供の人数が少ないため、GDP比で見ると低い値が出ているだけというのが現実です。

わかりやすい例をあげましょう。世帯年収500万円で子供2人の家庭Aと、世帯年収1000万円で子供1人の家庭Bとがあったとします。さて、この2つの家庭、どちらが教育にお金をかけているのでしょうか。

一般的な感覚でみれば、1人あたり倍の100万円を支出している家庭Bが教育にお金をかけていると思うでしょう。しかし、日教組や文科省は、家庭Aのほうが教育にお金をかけていると言います。その理由は、家庭Aは年収比で20%も出している、Bは10%しか教育費を支出していないのだから、家庭Bはもっと教育費を出すべきだと。こんなバカな話はありません。

このように、日教組や文科省は、自分たちの権益を守るために、いろいろな数字を自分達にとって都合のいいように解釈して、マスコミや世論を操作しているのです。

2015年7月28日火曜日

日本の先生の給料は世界一


せっかくなので給料についても考察してみましょう。上の表は勤続15年の給与の国際比較。購買力平価による米ドル換算なので国際比較をするには一番客観的な資料。日本はOECD平均を大きく上回り、トップクラスです。

注意しなければならないのが、上記の表には諸手当が含まれていない点。例として、大阪府教員のモデル年収額を見てみましょう。これによれば、45歳小・中学校教員の年収は710万円ですが、これは給料、地域手当、期末勤勉手当の合計です。国際比較には、地域手当(44,000円×12か月分=528,000円)は含まれていません。そのほかに、扶養手当、住居手当、通勤手当で約20,000円×12か月=240,000円が追加で支給されています。比較に出てくる国々ではこのような手当は存在しません。日本独特の手当です。

さらに、財務省が配布しているこの表には大きなカラクリがあります。公務員に支給される最大の手当、退職手当です。大阪府のケースで約2,400万円支給される退職手当がこの国際比較ではまったく考慮されていないのです。

海外でも退職手当ぐらいあるだろうと思う人もいるかもしれませんが、それは間違いです。退職後に受け取れる年金制度はありますが(これは日本の公務員にもある)、日本のような退職時に一時金として手当を出すような制度は存在しないのです。大阪府の例でみれば、新卒で38年働いたとすれば、年間64万円(2,400万円÷38年)が上乗せされている計算になります。

こうした日本独自の手当が国際比較には盛り込まれていないのですが、それでも日本の教員の給与は世界トップクラス。いかに優遇されているかがよくわかります。

先生の多忙化はウソ その2

財務省の試算


教員の多忙化問題について続き。前回の記事で、教員の総労働時間が50年前と比べてほとんど変わっていないということが文科省の調査でわかりました。今回は教員の多忙化について人員面から見ていきましょう。

日教組と文科省がグルになって、教育現場の人手不足を訴えていますが、その実態はどうでしょうか。各学校に配置される教員数は、定数法という法律によって定められています。この定数には、児童・生徒数によって決まる「基礎定数」と政策目的によって措置される「加配定数」とがあります。

まず、「基礎定数」から。この数は、児童・生徒数に合わせて決められるものですが、平成元年の時点で児童・生徒数約1,500万人に対して、教員数は76万人でした。少子化で平成25年には児童・生徒数が約1,000万人で、教職員の数は70万人と、6万人程度しか減っていないのです。

次に、「加配定数」の部分について。平成元年時点で1万1千人だったのが、平成25年には6万2千人と5万人も増員されています。少人数学級、チームティーチングなどの名目で余分に教員が配置されているわけです。

勘のいい人ならお判りでしょう。平成元年時点の教員数が基礎定数76万人+加配定数1万人=約77万人。平成25年時点では基礎定数70万人で加配定数6万人=約76万人です。児童・生徒の人数が3分の2と大幅に減っているにも関わらず、教員の数は25年でほとんど減っていないのです。

カラクリはこうです。本来であれば、少子化に伴う児童・生徒数の急激な減少に合わせて、リストラなどで教員の数も大幅に削減すべきところを、加配や定数改善の名目で教員の雇用確保を行っていたのです。財務省の試算では、児童・生徒の減少に合わせて教員定数を減少させれば、平成25年時点で必要な教職員定数は50万人で済んでいたという試算が出ています。雇用確保のために20万人の余剰教員を税金で抱えているということです。

この結果、財務省の資料によれば、児童・生徒数あたりの教職員数は、この25年間で1.4倍にまで増加しているということです。要するに、過去50年間で教員の労働時間はほとんど増えていないにも関わらず、一人当たりの教員が受け持つ児童数は大幅に減っているのです。20万人も余分な教員を税金で抱えて、「忙しい忙しい」「人員を増やせ」と文句を言われるのですから、納税者はたまったもんじゃありません。

2015年7月17日金曜日

先生の多忙化はウソ

忙しいのに平日昼間に国会前で座り込み

国民教育文化総合研究所なる団体が「教員勤務の「多忙化」解消に向けた提言」というものを発表しています。要は、学校の先生は忙しいから、国はなんとかしろよってことです。このように、学校の先生が多忙化でタイヘンだなんてニュースをよく見ます。

まず、この国民教育文化総合研究所(教育総研)なる団体の正体ですが、これ、実は日教組のシンクタンク。自分たちの待遇改善のためにやってる調査ということで、内容はあまり信頼性がありません。このような調査結果をマスコミなどに発表して教員の待遇を改善しろと運動しているわけです。

実際のところはどうなのか。教員の勤務状況については、文部科学省が平成18年に大規模な調査を実施しており、これが一番信頼性が高いかなといった感じ。で、それによりますとこうなっている。

平成18年に行われた「教員勤務実態調査」の結果によると、小学校・中学校の教諭の勤務日の残業時間が1月当たり平均約34時間となるなど、昭和41年の「教職員の勤務状況調査」の結果と比べ、残業時間が増加している。

教員の平均残業時間が月34時間一日あたり1時間半前後。そんなに多いですかね、これ。民間企業なら楽なほうでしょう。

この実態調査、1966年にも実施され、それが教員の残業手当の算定基礎にもなったということ。その時の平均残業時間が月約8時間で、34-8時間で26時間も残業時間が増えている、給料上げろと運動やってるわけです。

素直に耳を傾ければ、いじめ問題やモンスターペアレントの相手で、学校の先生って大変ねと思うかもしれませんが、騙されてはいけません。月あたりの総労働時間を見ればそのカラクリがわかります。

そもそも1966年調査当時、学校は土曜出勤があったので1週間の勤務時間は8時間x5日+4時間=44時間。ところが今は完全週休2日制で、さらに1日あたりの労働時間も7時間45分と大幅に減っているのです。週あたりの労働時間は1966年当時44時間に対して、現在は38時間45分、なんと5時間15分の減となっているではありませんか。

これを月当たりで換算するとどうなるでしょうか。2015年7月を例に挙げれば、減少した労働時間は、土曜分が4時間x4日=16時間、平日分が15分x23日=5時間45分、合わせて21時間45分労働時間が減っているんです。

ということは、26時間残業時間が増えたと宣伝してるけど、実際のところ労働時間は4時間15分しか増えていないわけですね。月で4時間。さらに、1966年の調査当時はなかった国民の祝日(海の日、天皇誕生日)についても考慮すれば、教員の総労働時間は、50年前と比べてほとんど変わってないんですね。

ちなみに、上の例で、教員の週あたりの労働時間は、正規の労働時間38時間45分+残業分7時間24分=46時間9分です。日本のサラリーマンの週あたり労働時間は、53時間8分(「日本人の働き方と労働時間の現状」内閣府規制改革会議雇用ワーキンググループ資料より)ということですから、日本人の平均以下なわけです。

日教組の組合員さんは、「今は昔より確実に忙しくなっている」と反論するかもしれません。でも、データ上は労働時間はほとんど増えていないんです。あっ、ひとつだけ可能性があります。それは昔は勤務時間中に仕事していなかったのが、今は仕事しているってことですよ。

安保法制反対で中央動員

安保法制が世の中を賑わせていますが、平日昼間に東京に集まって反対運動やってる人たち、普段は何をしているのでしょう。

日教組を例にとると仕組みはこうです。日教組から都道府県の加盟単組に動員要請がきます。要請があった単組は、組合員を派遣して集会やデモに参加してもらいます。動員人数は単組によって異なりますが、動員先に近いところで数十人単位、遠方では数名です。費用は日教組負担(一部単組負担)。参加者には、往復の交通費と宿泊が伴う場合は宿泊費、そして日当が支給されます。ちなみに交通費は正規料金が支給されるので、各種割引を利用すれば1回の動員で万円の単位で小遣いになります。

石川、埼玉、神奈川、沖縄など県教組の旗が

参加するのは、組合員で日教組の場合は学校の先生。有休とって仕事やすんで参加します。当然ですが、有休なので勤務先からは給料が支給される休みです。平日、授業がある中、他の先生に子供の面倒を押し付けて(自習とかさせる)、集会やデモやってるわけですね。


で、集会やデモに参加するだけならあれなんですが、遠方からの参加なら休日や有休をくっつけて東京観光も兼ねる人が結構います。人によっては家族連れで、デモの翌日ディズニーランドなんていうのも珍しくはありません。組合の経費で三ツ星レストランで食事という話も聞いたことがあります。というわけで中央動員は組合員にも結構人気です。

日教組の場合で動員数は数百人になりますが、自治労や他団体を含めると労組からの参加人数はかなりの規模になります。要するにこの手のデモに参加している人たちは大半が組合の動員で来ている人たちで、純粋な気持ちでデモやってるってわけでもないんですね。