2015年7月28日火曜日

先生の多忙化はウソ その2

財務省の試算


教員の多忙化問題について続き。前回の記事で、教員の総労働時間が50年前と比べてほとんど変わっていないということが文科省の調査でわかりました。今回は教員の多忙化について人員面から見ていきましょう。

日教組と文科省がグルになって、教育現場の人手不足を訴えていますが、その実態はどうでしょうか。各学校に配置される教員数は、定数法という法律によって定められています。この定数には、児童・生徒数によって決まる「基礎定数」と政策目的によって措置される「加配定数」とがあります。

まず、「基礎定数」から。この数は、児童・生徒数に合わせて決められるものですが、平成元年の時点で児童・生徒数約1,500万人に対して、教員数は76万人でした。少子化で平成25年には児童・生徒数が約1,000万人で、教職員の数は70万人と、6万人程度しか減っていないのです。

次に、「加配定数」の部分について。平成元年時点で1万1千人だったのが、平成25年には6万2千人と5万人も増員されています。少人数学級、チームティーチングなどの名目で余分に教員が配置されているわけです。

勘のいい人ならお判りでしょう。平成元年時点の教員数が基礎定数76万人+加配定数1万人=約77万人。平成25年時点では基礎定数70万人で加配定数6万人=約76万人です。児童・生徒の人数が3分の2と大幅に減っているにも関わらず、教員の数は25年でほとんど減っていないのです。

カラクリはこうです。本来であれば、少子化に伴う児童・生徒数の急激な減少に合わせて、リストラなどで教員の数も大幅に削減すべきところを、加配や定数改善の名目で教員の雇用確保を行っていたのです。財務省の試算では、児童・生徒の減少に合わせて教員定数を減少させれば、平成25年時点で必要な教職員定数は50万人で済んでいたという試算が出ています。雇用確保のために20万人の余剰教員を税金で抱えているということです。

この結果、財務省の資料によれば、児童・生徒数あたりの教職員数は、この25年間で1.4倍にまで増加しているということです。要するに、過去50年間で教員の労働時間はほとんど増えていないにも関わらず、一人当たりの教員が受け持つ児童数は大幅に減っているのです。20万人も余分な教員を税金で抱えて、「忙しい忙しい」「人員を増やせ」と文句を言われるのですから、納税者はたまったもんじゃありません。

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