2015年8月5日水曜日

日本の先生の給料は世界一 その2

前回、OECDの国際比較の話が出たので、教員給与が教育予算に占める割合について触れておきましょう。

日教組や文科省は、日本の教育予算が他国と比べて低い、教員を増やせ、給料を増やせと宣伝していますが、実際のところはどうなのでしょう。

ここでは2010年のOECDのデータをもとに話を進めていきます。まずは、在学者1人あたりの公財政支出(対国民一人当りGDP比)のデータです。日本は、OECD平均を上回り、米英仏独日の5か国では、イギリスに次いで2番目に高い支出率で、教育に予算をかけていることがよくわかります。

さて、教育予算といってもいろんな支出があります。校舎や設備などに使う施設費、教材費や奨学金なども含まれます。さてこうした教育予算に占める教員給与の割合はいかほどのものでしょうか。日教組や文科省は教員が少ない、給料が少ないと叫んでいるわけですから、諸外国と比べて低い割合なのでしょうか。


現実はこうです。日本の教育支出に占める教員給与の割合はOECD平均の75.9%を大きく上回る85.9%で、先進国でもトップクラスの値です。


在学者一人当たり教員給与支出でみてもトップレベル。予算に占める先生の給料の割合が世界でもトップクラスの国ということです。

前回の話と合わせると次のようなことがわかります。要するに、日本の教育予算はOECD平均を上回るにも拘わらず、少子化に伴う教員のリストラが進まないことが原因で、教員給与が他の教育予算を圧迫しているということです。

もう少し詳しく見てみましょう。まずは一つ目。日教組などで組織する団体のサイトに掲載されているグラフです。
一見すると日本の教育予算が少なく、公財政の支出が低いように思えます。公財政支出の比率が低いというのは、対GDP比でみているからということは前回の記事でお伝えしました。ここでは、さらに公費と私費の負担割合について着目してみましょう。

日教組や文科省は、日本の教育予算は私費すなわち家庭の負担が大きい、もっと教育予算を拡充して、教員の給料を上げろと訴えています。ところが、こうした主張はデタラメであることを証明しましょう。

こちらをご覧ください。同じデータを、「就学前」「初等中等教育」「高等教育」に分けて示したものです(少し小さいですが、クリックすると拡大されます)。注目すべきは、初等教育のグラフです。日本はOECD平均を上回り、初等教育では93%を公費が負担しているのです。米英仏独日の5か国で比べれば、日本は公費を一番負担している国なんです。

日本の場合は、就学前が最下位、高等教育も下から4番目と極端に低い値を示しているため、全体の公私費負担率が低い値を示しているというだけなのです。要するに小・中学校の教育予算は諸外国に比べて十分に確保されているのです。

こうしたゴマカシで、日教組や文科省は教育予算を確保し、教員の人件費に充て、さらに予算を増やそうと画策しているのです。そのしわ寄せが、就学前教育や高等教育に行っていると言ってもよいでしょう。余剰教員のリストラや給与カットを進めれば、他の部門へ予算が回せるのです。

2015年8月4日火曜日

日本の教育予算は最下位のウソ

最近、報道などで日本の教育予算がOECD加盟国の中で最下位というものをよく目にします。日教組や文科省が、このOECDの報告を根拠に教育予算・教員給与のアップを要求していますが、この報道は大きな間違いがあります。

「子ども応援便り」という日教組絡みのサイトにある特集記事を引用してみましょう。
日本の教育予算は、国内総生産(GDP)の約3.6%となっており、OECD各国の平均の約5.3%を大きく下回り、加盟国34か国中最下位となっています(グラフ1)。これで日本の最下位は5年連続となりました。

この記事を見た人は、「えっ、日本の教育予算ってこんなに低いのか、大問題だ」と思うかもしれませんが、それは間違いです。

それはこのグラフがとんでもないインチキグラフだからです。注目すべきは、このデータが『国内総生産比』であること。極端に少子高齢化が進んでいる日本では(5-19歳人口の総人口に占める割合が、他の先進国では概ね20%前後であるのに対して、日本は約15%)、このような計測方法では数値が低くなるのは当然なのです。

そのことを裏付けるように、同じOECDのレポートには以下のような記述もあります。

日本における在学者一人当たりの教育支出(公財政支出と私費負担の合計)は、OECD 加盟国中比較的高い。2011 年における、初等教育から高等教育までの在学者一人当たりの年間教育支出額は10,646 米ドルであり、これは OECD 平均の 9,487 米ドルよりやや高い。

要するに、児童・生徒一人あたりの教育費はOECD平均より『比較的高い』にもかかわらず、子供の人数が少ないため、GDP比で見ると低い値が出ているだけというのが現実です。

わかりやすい例をあげましょう。世帯年収500万円で子供2人の家庭Aと、世帯年収1000万円で子供1人の家庭Bとがあったとします。さて、この2つの家庭、どちらが教育にお金をかけているのでしょうか。

一般的な感覚でみれば、1人あたり倍の100万円を支出している家庭Bが教育にお金をかけていると思うでしょう。しかし、日教組や文科省は、家庭Aのほうが教育にお金をかけていると言います。その理由は、家庭Aは年収比で20%も出している、Bは10%しか教育費を支出していないのだから、家庭Bはもっと教育費を出すべきだと。こんなバカな話はありません。

このように、日教組や文科省は、自分たちの権益を守るために、いろいろな数字を自分達にとって都合のいいように解釈して、マスコミや世論を操作しているのです。